世間とミクシィ

ミクシィのことは前も書いたけどまた書く。


ミクシィは「ネット上」とは呼べない程度に匿名性が低い。
なんと言っても"足跡"機能が致命的で、"誰"が来たと具体的に判明してしまう。
ブログとの大きな違いはそこで、アクセス解析はIPはわかるが"誰か"はわからない。


もう一つ重要なのが、公開レベルが設定可能なこと。
"友人の友人"とある通り、"知り合い度"が低い相手にはその程度の情報しか提供されない。
その先に踏み込みたいならあと一歩の勇気が必要なのだ。
これは現実世界の"友人の友人"とほとんど同じ状況。
違うのは相手とは直接に交渉できる点で、そのあたりはネット的かもしれない。


他に、コミュニティ機能も意外と重要だ。
キャラや有名人のコミュニティのようなものは昔からあった。
"同盟"や"ファンクラブ"などが、それ。
違うのが、自分の所属・経歴を示すコミュニティの存在。
小中高大の組み合わせは知り合いにとって、個人を特定するに十分な情報だ。
おそらく同じ経歴を持つ人間なんて片手もいない。
その中でさらに"ミクシィ世代"に限定されるのだから特定なんて簡単だ。
同じ経歴を持つ人が多数いる場合には、その人達はミスター凡人だ。


ここで重要なのは"知り合いにとって"簡単だ、ということ。
小中高大の組み合わせはそれを知らない人には意味をなさない。
これによって、他人への匿名性と知り合いへの公開性を同時に満たした。
考えてみると当たり前だけど、ネット上の当たり前ではなかっただけに新鮮。
でも、これまた現実をそのまま移しただけだ。


ミクシィは現実世界の"世間"を再現してる、そんな感じ。
世間は阿部謹也的な意味での世間です。


以上のことから、余程のことがない限り、ミクシィ内での新規開拓は起こらない。
顔見知りがオンでもオフでも顔見知りになっただけ。
結局、ネット上に都合の良い同窓会データベースが完成しただけ。
同窓会を結婚相談所と見なせば、ミクシィは出会い系と言われてもおかしくない。